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プロローグ


 

「ホラ小宮(こみや)! しっかり見て! これが女体の神秘ってやつだよ!」
「無理! こんなのまともに見れないよっ!」
 
 人気のない春の屋上で。
 ヌード雑誌を両手に広げ、真っ赤な顔を背ける男子に見せ付ける。
 そんなあたしは痴女でも教師でもなくて普通の女子高生。
 
「なに言ってんの! 普通、小宮くらいの年頃の男子なら、目をらんらんと輝かせて食い入るように見るもんでしょーっ!?」
「男子高生にどんな偏見持ってるの比奈さん!? きつすぎるよこれ!」
 
 逃げようとする男子の肩をがっしと掴んで覆い被さる。
 制服のスカートが少し捲くれ上がるけど気にしない。
 
「わっ! やめっ。は、離れてっ」
 
 途端、カチコチに固まって動けなくなる男子。その耳元に大声で叫ぶ。
 
「これも小宮のため! 脱・チェリーのためなんだから、ちゃんと勉強するの〜〜〜〜っ!!」
 
 
 
 とても人様には見せられないこのやり取り。
 別にあたしは嫌がる男子に無理矢理エロ本見せる趣味はない。
 
 この男子から頼まれてやってあげてるのだ。
 
 頼まれたから仕方なく――うん、仕方なくやってあげてることなのだ。
 
 ……確かに、ちょっぴし楽しいかも、とか思っちゃってたりもするけど。
 
 さっきからヌード写真すら直視できないこの男子。
 実は女の子が大の苦手。まったく触れることもできないウブウブ君なのだ。
 
 
「ほら、よ〜く見て。こっちのコなんて胸が大きくておいしそ〜とか思わない?」
 
「おいしそうって……。正直なにがなんだかもう……うっ……比奈さん……僕、頭がくらくらしてきた……」
 
「頑張って小宮! 日本の明日を背負う男子として……って、小宮! は、鼻血! 鼻血すんごい出てる〜っ!! 小宮っ!! しっかりして小宮ぁぁぁぁっ!!」
 
 
 
 これは、そんな純情少年が初体験を経て、一人の男として成長していく物語。
 
 そしてまた、それを影で支える少女との、愛と友情の物語――――――
 
 
 
 なんちゃって☆
 
		
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